ミャンマーの活動ACTIVITIES OF MYANMAR

人材の育成(カレン州パアン/パアン技術訓練学校) 【2019年12月31日事業終了】

1990年前後に多くの大学が閉鎖され、学ぶ機会を奪われてきた若者や、さまざまな理由で就学をあきらめた若者たちを対象に、BAJは各地域で技術訓練学校や技術研修コースを設け、
さまざまなスキルを身につける機会を提供してきました。
民主化を進め、経済発展を促すためにも人材の育成は大きな課題となっています。

カレン州は60年間以上にわたって政権軍と一部の民族武装勢力との紛争が散発してきた地域ですが、2012年に停戦合意が結ばれ、その後多くの国際機関や国際NGOが入って活動を進めています。BAJは2014年から州都のパアンに技術訓練学校を建設し、学ぶ機会のなかった地元青年を中心に、全国からの若者を対象に職業訓練コースを2019年までの6年間のプロジェクトとして開設しました。 
前半の3年間(2014~2016年)は、日本国外務省・日本NGO連携無償資金協力の資金にて運営し、後半の3年間(2017~2019年)は日本財団様の資金支援にて運営をおこないました。

訓練生を直接指導するのは基本的にBAJスタッフのインストラクターなので、彼らに技術指導をおこなう日本人専門家やミャンマー人専門家を科目ごとに派遣しています。各科のカリキュラム策定や教授法、訓練資機材に関する助言もいただきながら進めてきました。

技術訓練の科目

建設科

ミャンマーで典型的な建築様式である、木造、レンガ造、鉄筋コンクリート(RCC)造の基礎施工技術を学び、小規模な一戸建て住宅が建設できる基礎技術の習得を目指して、木工、石工(レンガ積み工、コンクリート工)、鉄筋加工、配管工の4科目がカリキュラム内容で安全教育も重視しています。技術訓練学校の研修棟、教室棟、排水路などの建設では、OJTとして訓練生も参加しました。

電気科

屋内電気配線の技術習得を主体に、安全作業や整理整頓・清掃、国際標準による電気工事作業の習得、また国内のニーズが高いエアコン設置技術、ソーラー発電設置技術の基礎研修をおこないます。また、OJTとして学校構内の電気配線や修理、外部の電気工事現場での作業もおこなってきました。

自動車整備科

国内でニーズの高い単気筒エンジンおよび車両の全システム(エンジン、シャシ、電装)について、日本の3級整備士レベルの技術習得を進めています。また、卒業生のうち成績優秀者を対象に、電子制御燃料噴射装置(EFI)に対応する講座を特設したこともありました。国内で増えているEFI車両の原理・構造から点検・修理法の基礎訓練をおこなっています。

溶接科

国内でニーズの高い溶接技術であるアーク溶接、ガス溶接、ガス切断を中心に、切削など金属加工に関する技術研修をおこなっています。OJT研修として、ベッド、テーブル、ベンチ、棚などの製品を、実際に外部からの注文を受けて製品製作もおこなってきました。

技術訓練学校の運営

学校の運営

本事業は、日本国外務省・日本NGO連携無償資金協力の資金と日本財団の資金により、2013年~2019年12月まで運営をおこなってきました。その間、現地カウンターパートである国境省教育訓練局(ETD)への引き渡し準備のため、ETDからのインストラクター候補生を受け入れ、ETD(べピドー本省)や本校運営委員会で運営方針や課題について検討しながら進めてきました。
本校の訓練期間は、開校から4年目前期までは多くて3学科の開講でしたが、4年目後期から4学科を同時開講し、1学期間が5.5か月で年に2学期を開講してきました。1学期の訓練生の卒業生数は開校1年目を除いて70~90名でした。

訓練生の選抜

訓練生選抜については、全国紙への募集記事掲載やカレン州政府機関、カレン州各タウンシップへの応募用紙の配布などをおこなっています。選抜に際しては、国境省教育訓練局(ETD)とBAJで学生選抜委員会を組織し、委員会で定めた選抜基準をもとに、書類選考、面接を経て、技術習得への熱意、家庭環境(経済状況など)、紛争被害地域出身の有無、将来への考え方、地域間の公平性などを考慮して決定します。
本校は全寮制とし、訓練生には生活必需品や学習備品を支給し、食事や宿泊場所を無償で提供することで、どこの地域からでも技術習得に専念できる環境を整えています。

卒業生の就労支援

就労支援と就労状況

卒業生の就労先として、パアンの企業やヤンゴンの日系企業、各地のワークショップなどに卒業生の採用をスタッフ一丸となって働きかけ、訓練生に求人票を配布しています。
卒業生の就労状況調査を卒業後1ヶ月と6ヶ月目に、卒業生の職場を訪問し、就労状況をモニタリングしています。その結果、6年間の実績として、就労モニタリング調査の第1回目が終わっている6年目(2019年)前期生までの総卒業生772名のうち就労者は累計で641名(2019年8月時点)となり、83%の就労率でした。また、総卒業生のうち日系企業には累計で111名(2019年8月末現在)が就労し、14%の就労率でした。


▼パアン技術訓練学校に関する活動報告▼
パアン技術訓練学校の今後 2020.2.17報告
指導員の育成 2019.12.14報告
訓練生の一日 2019.11.15報告
日本語特別教室開講 2019.9.12報告
6年目 前期訓練の修了と後期訓練の開始 2019.7.26報告
土曜特別授業や企業訪問の様子 2019.6.13報告
溶接化訓練生用教室の増築工事と自動車整備科実習棟の拡張工事を開始 2019.4.19報告
6年次前期プログラム開講 2019.2.20報告
日本人技術専門家の活動と英語特別授業 2018.12.25報告
中間試験と土曜特別授業 2018.11.1報告
卒業生が技術コンクールで準優勝しました 2018.10.24報告
活動報告会をおこないました 2018.9.14報告
2018年前期 卒業式 2018.8.30報告
国境省副大臣視察来校 2018.6.13報告
プロジェクト開始から5年 2018.4.3報告
3年間の事業終了と4年次開始 2017.2.21報告
ヤンゴンの日系企業に就職した卒業生 2016.12.1報告
・これ以前の活動報告、駐在員日記はこちらからご覧いただけます。

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