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2016.12.01 活動報告

パアン技術訓練学校 ヤンゴンの日系企業に就職した卒業生:ミャンマー

報告者:パアン事務所 吉田

 

BAJは、2014年からカレン州の州都パアンに技術訓練学校を建設し、学ぶ機会のなかった地元青年を中心に、全国からの若者を対象に職業訓練コースを開設しています。

 

今日は、ヤンゴンの日系企業で働く当校卒業生について紹介します。

 

これまで、事業3年次の前期までで、計286名の訓練生が訓練を修了して卒業し、そのうちの233名が就職できたことを確認しています(就労率81%)。※プロジェクト目標=80%。多くの訓練生は地元に戻り、建設現場や車のワークショップなどで、学んだ技術を生かして働いています。そして、何の技能も持たない方に比べて、より多くの給料をもらえています。

 

さらに、卒業生が地元で働くことにより、各地域の技術力が向上し、彼らはコミュニティの発展に貢献し、ひいてはミャンマーの技術力底上げに貢献している、ということになります。これこそが、当事業の長期的な目標です。

 

一方、当事業はこの3年間、外務省・日本NGO連携無償資金協力の資金により運営しておりますので、ミャンマーに進出している日系企業との連携も模索し、「日本」として考えても益が得られるような取り組みも行っています。具体的に「連携」とは、当校は日系企業からこの国の技術ニーズ・トレンドに関する情報を得て、より実用性の高い技術を教えるようカリキュラムにフィードバックしたり、日系企業から資機材などの提供を受けたりしています。

 

一方我々からは、当校卒業生で日系企業の要求に合致するような優秀な人材を紹介し(もちろん当人が希望した場合)、人材不足に悩む日系企業の雇用の一助となっています。今まで、計21名の当校卒業生が、日系企業に就職しました。彼らは、ヤンゴンやマンダレーで働いています。

 

日系企業に就職することのメリットは、何といっても、仕事をしながら、引き続き正しい技術、国際標準の技術を継続して学べる、ということです。以前にもご報告した通り、ミャンマーでは技術者は経験と勘だけでやっていることが多く、我々日本人から見ると、誤った、あるいは非効率的なやり方をしていることが多々あります。また、安全や品質に対する意識が非常に低いことも少なくありません。

 

当校では、訓練でまず安全対策や5S(主に日本の製造現場で用いられるスローガンのようなもの。整理・整頓・清掃・清潔・躾)を教え、そして日本式(もしくは国際標準)の正しい技術を教えますので、卒業生がミャンマーローカルの現場に就職した際、「あれ、学校で学んだことと違うことやってるな」と戸惑いを覚えることになります。

 

時には、自動車整備工場などでは、やり方の相違から上司とけんかして、辞めてしまう例もあります。当校で教える内容と現場でのやり方のギャップ、これは非常に悩ましい問題です。よって、日系企業に就職できれば、学んだことをそのまま使え、さらにスキルアップも望める、ということで、卒業生の将来にとっては、好ましいことと言えます。

 

日系企業側にとっても、安全や5Sという日本では当たり前の基本的なルールを知っている当校卒業生は、すんなり仕事に入れるし、そこから企業が教える必要もない、ということで、実際に高評価をいただいています。(逆に言うと、技術をすでに習得している一般のミャンマー人を雇用する場合、彼らは安全や5Sなどに無頓着なので、まずそこから教えなくてはならない、ということになります)

前回と一転して話が長くなりましたが、以下にヤンゴンの日系企業で働く卒業生の仕事ぶりを紹介します。

ヤンゴンの日系自動車会社で働く卒業生(右)


ヤンゴンの日系自動車会社で働く卒業生

ヤンゴンの日系自動車会社で働く卒業生

ヤンゴンの日系自動車整備工場で働く卒業生

(日系企業だけあって朝の清掃から仕事が始まります)

日系建設会社が手掛けるヤンゴンの橋梁建設現場で溶接工および機械工として働く3名の卒業生

ヤンゴンの日系橋梁製造企業の工場で溶接工として働く卒業生(両側の2名、中央は企業の人事責任者)

日系の電気工事会社に就職し、ヤンゴンの現場で働く卒業生

いよいよ12月13日で3年次事業が終了します。

今後とも皆さんのご支援をよろしくお願いいたします。


●パアン技術訓練学校運営事業は、日本NGO連携無償資金、皆様のご支援により運営しています。

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