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2020.02.17 活動報告

パアン技術訓練学校開校6年目を終えて:ミャンマー

報告者:パアン事務所 須藤

BAJパアン技術訓練学校運営プロジェクトは、日本財団助成金による開校6年目が終わりました。

ANA-NH813便から雲の合間に見えた本校(北から南方を望む。タルウィン河周辺の洪水状況とパアン市街地も確認できる:2018年9月)


(1)開校6年目の活動状況

開校6年目は、下表のとおり、年間で合計180名の入学者を受け入れ、179名の青年たちが建設、電気、自動車整備、溶接技術を学び卒業しました。後期は、国境省教育訓練局(ETD)所管の他校技術訓練学校6校から計26名の指導員(インストラクター)を受け入れ、本校の教育内容を他校技術訓練学校のレベルアップに繋げるために一般訓練生と同じ生活・同じ訓練を受けました。

【前期】

訓練科入学生卒業生訓練期間訓練内容(理論&実習)
建設科第9期 20 20 1/14~6/28
(約5.5か月)
コンクリート敷設技術、鉄筋加工技術、木工技術、レンガ積技術、配管工技術、ヤンゴン企業訪問、OJT
電気科第9期 20 19 1/14~6/28
(約5.5か月)
基礎数学、屋内電気配線技術、ソーラー発電技術、エアコン設置(基礎)、修理技術、ヤンゴン企業訪問、OJT
自動車整備科
第8期
30 30 1/14~6/28
(約5.5か月)
ブレーキシステム、エンジン機構、エンジンオーバーホール、サスペンション、電装設備、維持管理・点検法、ヤンゴン企業訪問、OJT
溶接科第7期 20 20 1/14~6/28
(約5.5か月)
アーク溶接、ガス溶接・切断、穴開け、グラインダー等金属加工技術、ヤンゴン企業訪問、OJT
90 89

【後期】

訓練科入学生卒業生訓練期間訓練内容(理論&実習)
建設科第10期 20 20 7/8~12/20
(約5.5か月)
前期とほぼ同じプログラム
電気科第10期 20 20 7/8~12/20
(約5.5か月)
前期とほぼ同じプログラム
自動車整備科
第9期
30 30 7/8~12/20
(約5.5か月)
前期とほぼ同じプログラム
溶接科第8期 20 20 7/8~12/20
(約5.5か月)
前期とほぼ同じプログラム
90 90

各科のインストラクターや訓練生、ETDインストラクター候補生への技術指導のため、械塚 是秋氏(電気科)、池松 勉氏(自動車整備科)、鈴木 芳郎氏(溶接科)、上村 順三(溶接科)の日本人専門家がそれぞれ2か月~6か月間で指導にあたり、建設科についてはミャンマー人専門家としてAung Toe 氏が6か月間で指導にあたりました。

その他の訓練内容としては、夜間を利用して各期10時間の英語特別授業、土曜日を利用して政府関係者やNGO関係者から外部講師を招いて、麻薬問題、環境問題、健康問題などをテーマに通年で18回の土曜特別授業を開催しました。また、日本人専門家通訳者の好意により、授業後の時間を使って、後期の約5か月間には日本語教室も開講しました。

 入学式(開講式)や卒業式(修了書授与式)には、カレン州政府から州首相、州議会議長、各大臣など、国境省教育訓練局からは副局長、ディレクターなど、その他ではUNHCRやNGO関係者などが来賓として参列いただきました。また、日本国外務省本省、丸山市郎駐ミャンマー日本国特命全権大使、日本財団、JICAなどの個別訪問もありました。


前期卒業式での訓練生達(2019年6月)

前期卒業式での優秀成績者表彰(プレゼンターは国境省教育訓練局副局長;2019年6月)

後期入学式で挨拶を頂きましたカレン州政府州首相(2019年7月)

後期入学式の式典風景(2019年7月)

後期卒業式で卒業生と歓談されるカレン州政府州議会議長、同保安国境大臣(2019年12月)

後期卒業式での自動車整備科卒業生とご来賓(2019年12月)

いつも盛り上がるスポーツ(バレーボール競技;2019年2月)

丸山市郎駐ミャンマー大使の来校(2019年10月)

ヤンゴン企業訪問・現場訪問(2019年11月)


(2)プロジェクト6年間を振り返って

本校は学ぶ機会のなかった地元青年を中心に、全国からの若者を対象に職業訓練コースを2013年12月から2019年までの6年間プロジェクトとして開設しました。

前半の3年間(2014~2016年)は日本国外務省・日本NGO連携無償資金協力の資金にて運営し、後半の3年間(2017~2019年)は日本財団様の資金支援にて運営をおこなってきました。

プロジェクトの目的・目標は、

①   教育の機会に恵まれなかった若者に、質の高い技術訓練・教育を受ける機会を提供する

②   卒業生の就労機会の拡大、収入向上(数値目標:卒業生の80%が職を得られる)

でした。

これまでの6年間を合計すると862名の青年たちが卒業し、就労モニタリング調査をおこなった第6年次前期卒業生まで772名のうち、83%にあたる641名(2019年8月末現在)が就労の機会を得ることができました。そして日系企業には、総卒業生のうち111名(2019年8月末現在)が就労し、14%の就労率でした。このように、6年間を振り返って、プロジェクトの目的・目標は達成されました。

さらに、国境省教育訓練局(ETD)が管轄するミャンマー国内の8校程度ある同様の技術訓練学校の中で、2018年にBAJパアン技術訓練学校はモデル校としてETDから認知され、他校の目標とされる学校となりました。

以下に学期累計就労率の変遷図と2015年(2年目)と2018年(5年目)の学校施設全景写真を示します。

学期累計就労率の変遷(2019年前期卒業生までのモニタリング結果)

2015年9月撮影(2年目)

2018年(5年目)4月撮影の本校全景写真

2018年(5年目)7月撮影の本校全景写真



(3)パアン技術訓練学校の今後

当初、本プロジェクトは、ミャンマー政府のカウンターパートである国境省との覚書では6年契約でありましたので、BAJとしてプロジェクト運営は2019年で終了します。しかし、カレン州政府からの強いプロジェクト延長依頼もあって、これまで3年間ドナーとして資金支援を頂きました日本財団が2020年以降も支援することとなり、1月以降も新たな組織Sustainabridgeによって事業運営を引き継いで頂けることになりました。本校が継続して発展することを祈念します。

訓練生達と筆者(本校講義棟の前で;2018年4月)

根本理事長・新石事務局長ほかBAJスタッフと本校スタッフ達(2019年8月)

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