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ラカイン州マウンドー町とBAJ事務所の現況:ミャンマー

ラカイン州マウンドー町とBAJ事務所の現況:ミャンマー

報告者:東京事務所 大野

マウンドーでの戦闘が終わり、4月初頭にBAJ事務所に守衛が警備駐在を始めました。町や事務所の様子を報告します。

2023年11月にはじまったラカイン州の内戦は、2024年8月にアラカン軍(AA)による、BAJ事務所のあるマウンドーの占領戦に至りました。12月上旬、AAはマウンドー最後の国家行政評議会(SAC)軍基地を攻略し、郡全域の占領を完了させました。2025年5月現在、マウンドー郡を含む州のほぼ全域を、AAの政治部門であるアラカン連盟(ULA)が統治しています。依然として夜間外出禁止令や、ビルマ地域との交通遮断、停電やインターネットの不通、銀行の閉業といった状況も続いていますが、マウンドーでは1月以降、避難民が様ざまな統治上の規制のもと町や村に帰りはじめ、前向きな変化も見られました。

3月に入るとマウンドー市街への入域や帰還する際の手続きが簡略化され、元の住まいに戻る人々が大きく増え、生活再建がはじまっています。小規模ながら郡病院が再開し、教育局は6月の新学期に向けて教員の再登録を進めています。また、道路管理や交通警察行政も始まっています。国境の貿易港が再開され、バングラデシュからの物資が“正式に”輸入されはじめました。さらに、インドからの物資も遠地を経由して流入しており、生活物資の流通は徐々に改善しています。市街地では臨時市場が開かれ、物価は依然として高止まりしながらも、飲料水を含む生活必需品の入手が可能となっています。マウンドー市街および周辺では、3月以降に空爆はありませんでした。

一方、住民が活動する場所が増えるにつれ、地雷や不発弾による被害が出始め今なお続いています。近隣村落では、AAとロヒンギャ武装組織との戦闘が散発しており、武装勢力の待ち伏せによる住民への被害も報告されています。市街では窃盗が横行しはじめ、AAが巡回警備と犯人の逮捕処罰をおこなっています。

援助団体が事務所に帰還し活動を再開するには、それぞれの段階で当局の許可が必要で、どの団体も守衛の再配置からはじめています。ただし人数は2人までしか許可されず、初回の事務所警備滞在時には1週間市外に出ることが許されません。BAJは4月初頭に守衛を配置することができ事務所の警備と残留備品の保全を始めました。残念ながら、これまでに正門の錠前は何回も壊され開門され、フェンスの損壊もありそうで、盗難被害を覚悟しての帰還になりました。

守衛が敷地内に常駐しはじめ、BAJ事務所の惨状が明らかになりました。ほとんどの建物が空爆か砲撃を受け、屋根や壁が全壊した棟もありました。室内の資機材や備品も被弾散乱し、10か月近く雨ざらしで泥や粉塵にまみれていました。10台以上あった車両も、窓ガラスが割れボディがへこみ多数の穴が開いています。延焼した車両もありました。盗難被害も酷いものです。事務所の資機材や備品、整備・溶接場の機械・工具、裁縫訓練用のミシンなど様ざまなものが無くなっています。車両においては、タイヤはもとよりエンジンルームが開けられ、あちこち部品が外され持ち去られています。資産のうち何が壊れ何が失われたか、何が残り何がどの程度使えそうなのかの特定と、片付けや修繕には相当の労力や資金がいりそうです。

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【車両】
フィールドワークで活躍していたフォード・レンジャー。
10台以上の全BAJ車両が損壊。タイヤや部品が取り去られ盗まれていました

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【車両】
中庭に駐車していた三菱キャンターは原型を留めていない。敷地内は雑草でやぶ化していた。

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【整備・溶接工場】
国連機関や国際NGO、地域の慈善団体の車両や機械の整備修理を引き受けていた工場。屋根や壁が崩壊していた。

また、建物と舗装通路以外の箇所は、1年以上手入れされず雑草雑木が繁茂しています。最も危惧せねばならないのは地雷敷設の可能性です。住宅密集地の縁の町はずれに位置し、攻守双方の兵が恐らく地上戦を戦ったであろう敷地内には、他の同様の戦地にみられるように地雷があるかもしれません。マウンドー近郊でも、地雷や不発弾による帰還住民の死傷者がでています。したがって、まずは専門家による地雷探査・処理を早急に進めるつもりです。安全が確認されるまでは、舗装通路と建物以外には足を踏み入れず、最新の注意を払って敷地の警備と保全をおこなっていきます。

2人の守衛が廃墟同様の敷地内で、雨風を避け、食べ物・飲み水・生活水・水浴び場やトイレを確保するなど、障害をひとつひとつ解決しながら駐在し3週間が過ぎました。安全に十分配慮しながら雨季の雨対策を急ぎ、残留品と事務所・敷地の保全を進めていきたいと思います。

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【整備主任室】
整備工場責任者らの事務棟。屋根・窓・扉が壊れ、侵入者が荒らしつくしていた。

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【裁縫訓練室】
ラカイン、ムスリム、ヒンドゥーなど多民族の貧困女性がともに学んだ教室。
民族融和と女性の自律を目指して、1998年から多くの卒業生を輩出してきたが、
民族間の内戦がその場を破壊した。

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【所長室】
元も多い時には80人ほどの現地職員を束ねていた所長の部屋。
窓、壁は壊れ、多数の小穴の開いた天井からさす光が、壁に当たっている。

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【事務所】
職員が机を並べ働いていた事務所。
天井は落ち、おびただしい破片が埃や泥にまみれていた。壁に散らばる被弾痕が痛々しい。

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【インフラ部門事務所】
地域に学校校舎や小規模な橋を作りつづけてきたインフラ部門。壊れた窓からはつる植物が室内に侵入していた。

●ラカイン州における事業は、皆さまからのご支援で行っています。

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