報告者:東京事務所 新石
NGO登録から約1年、ようやく昨年末に村落開発局と覚書を締結できたため、今年度から村落部での井戸修繕事業を本格化しています。1月から4月の水祭り前までに7か村にて既存井戸の修理を完了することができました。
本事業は、外務省NGO連携無償資金協力(通称N連)を主たる資金として運営しており、今年度はマンダレー地域およびマグウェ地域から5郡(ニャンウー郡、チャウパドン郡、マグウェ郡、チャウ郡、イェナンジャウ郡)の10か村にて井戸修繕を実施する計画です。
本来であれば、昨年のうちに修繕を実施し、その後井戸の長期維持管理のためのワークショップや講習を行ない、3月20日まで全ての事業を終える予定でしたが、ミャンマー国内の混乱を背景に覚書締結が遅れたため、各事業のタイミングを入れ替え、事業期間自体も6月20日まで延長することになりました。
(シャーザウンカン村井戸修繕)
(ビングワ村の井戸修繕)
(チャウンバードウ村の井戸修繕)
修繕時には水質検査を同時に行なっています。これまでのところ特に大きな問題は出ておりません(元々、中央乾燥地域の井戸水で水質の問題が出てくるのは稀です)。
3月末の地震では、さいわい中央乾燥地域のチームが被災することがありませんでした。事業対象地も同様に深刻な被害はないと分かったため、修繕事業を一時中断して、マンダレーにて物資配布を行ないました。報告はこちらに載っています。
しかし、地震の影響によって中央乾燥地域のいくつかの村と町で揚水量の減少、または井戸設備の機能不全の報告が上がってきています。2016年にも中央乾燥地域で地震があった際も、同様の事態がありました。おそらくそうした井戸は修繕不可で廃棄され、新規井戸を建設するほかないと思われます。
(コンシェ村の井戸修繕)
地震前から、村落部の経済状況は悪化しているため、揚水量が落ちた既存井戸の緊急修繕支援のニーズは依然高いままです。
治安悪化のため本事業の対象外になってしまった地域(ナマウ郡)からも、修繕依頼がBAJに直接届いています。
ナマウ郡タモンピン村はBAJが2013年に新規深井戸を建設し、はじめて高架型の貯水タンクを設置した思い出深い場所ですが、2月に村からリクエストレターを受け取りました。
貯水タンクが老朽化し(小さな穴が空き)、井戸稼働の効率が著しく低下し、井戸の管理費用を圧迫、貯蓄金も底をついたため、一縷の望みでBAJに連絡したようです。こちらの貯水タンク改修支援はN連事業ではなく、BAJ事業として3月に実施しました。ちなみに村への移動にセキュリティ上の問題があったため、安全を確保するため村から僧院の協力を仰いでもらい僧院車両を使って現地スタッフたちが現場に向かいました。
(タモンピン村の交換した高架貯水タンク)
内戦、地震と、ミャンマーの人びとの苦難は続きます。安定した水供給が難しくなっている村落部への井戸修繕の緊急支援を今後も継続していきます。
皆さまからのご支援に厚く御礼申し上げます。今後ともご理解とご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
(アライボー村の井戸修繕)
(チャウンバードウ村 貯水タンク周りのようす)
● 本事業は外務省NGO連携無償資金協力事業(N連)資金と皆さまからのご寄付によって実施しています。
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