2014年12月、これまでの活動を通じて関係を築いた農家とともに、安全安心な野菜や精肉を販売で きる「直売所」をフエ市内にオープンしました。店舗で販売する野菜はすべて農薬や化学肥料の使用を極力抑えて栽培され、精肉(豚肉、鶏肉、アヒル肉)は安全な飼料を与え、成長促進剤の投与は一切せずに飼育されています。
直売活動に参加している農家すべてが直売所の参加基準を満たし、「直売活動に参加したい!」と意欲を持ってこの活動に臨んでいます。
また、直売所の販売・会計スタッフや、出荷する豚の選定は農家の子どもたちの世代が担います。後継者を育てるとともに、若者の雇用機会を生み出す役割も果たしています。
直売活動に参加している農家のフー(Phu)さんは、「自分の収入向上が前提ですが、それ以上に他の農家と情報交換をしながらこういった活動に参加できることがとても嬉しいです」と話しています。
農村の自然環境を守りながら農家の生計向上を図り、同時に、都市部に住む人たちに農村という学びの場を提供できるようになることを狙って、農村エコツアーの実施に向けた取り組みを行っています。
地域食材利用の推進や、伝統料理の継承・地域産業の育成を目指し、直売所「フエ農家の店」では、
定期的に直売所のお客さんたちと一緒に農家の畑を訪れ、農家に栽培の方法を尋ねたり、農家の畑から採れた野菜を使った料理を試食したりと、農家と都市部に住むお客さんが一緒に楽しい時間を過ごします。
フエ市・トゥイスワン、フォンロン、トゥイビェウの3地区の養豚農家では、家畜の糞尿を溜めてメタンガスを発生させるバイオガスダイジェスター(BD)の設置を進めています。
BDを導入することで、これまで農家と地域住民の間で課題となっていた家畜糞尿の悪臭・垂れ流し による衛生的な問題が改善され、農家は養豚業を続けていくことが可能となりました。中には、飼育頭数を増やしている農家もいます。また、BDにより発生するガスは、家庭の調理用コンロや豚の餌の加熱に利用されるため燃料費の削減につながるため、BDの普及により地域の農家の収入向上を実現しています。
BDは養豚業の衛生環境を改善し、発生するガスをエネルギーとして利用するだけでなく、発酵の上澄み液は、液体肥料(液肥)として農業に利用することができます。BDを設置した農家ではこの液肥やBDの残渣(残りかす)から堆肥をつくったりして、化学肥料や農薬を極力使わないようにしながら、野菜の栽培に取り組んでいます。
これらのベトナム事業はJICA草の根技術協力事業、アジア生協協力基金および皆さまからのご支援でおこない、現在も皆さまからのご寄付で継続しておこなっています。