報告者:マウンドー事務所 U Zin Min Htike
激しい戦闘や空爆によって事務所が壊滅的な被害を受け、深刻な資金不足という苦境にも直面してきたマウンドー事務所。戦火をくぐり抜けて奇跡的に残った車両や備品は、現地職員たちが迫る雨季や略奪から命がけで守り抜いてきた、文字通り「希望の形」です。
私たちは今、これらのうち今後の活動で使用予定のない資産を地域で適切に売却し、その収益をマウンドーでの新たな事業活動を再開するための大切な資金へとつなげる挑戦を始めています。現地を取り巻く厳しい背景と、再び地域の人々へ支援を届けるための確かな一歩を、活動の全体像と共に現地からご報告します。
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■ 紛争を乗り越えた愛着ある資産
激しい衝突がようやく落ち着いた2025年4月、避難先から戻った現地職員たちが目にしたのは、屋根が崩れ落ち無残に荒れ果てたマウンドー事務所の姿でした。しかし、職員の心は折れませんでした。「またここから始めよう!」と、泥や瓦礫にまみれた敷地を愛着を込めて丁寧に掃除し、混乱を生き延びた大切な車両や事務備品を一つひとつ特定しては大切に保護してきました。
同年9月には、すべての残存資産の状態を細かくチェックする棚卸しを実施。「まだ動くか、また使えるか」と、壊れたボンネットを開けてエンジンを覗き込み、職員みんなで知恵を絞りました。修理がどうしても難しいものや、今後の活動では使わない余剰資産を整理し、未来へ向けた一歩を踏み出す決意を固めたのです。
購入希望者立ち会いのもと、走行不能となった車両のボンネットを開けて状態を一緒に確認する様子
■ 厳しい財政状況を打開するための決断
今回の資産整理を後押ししたのは、2025年以降、私たちの事務所が直面し続けている極めて厳しい財政状況です。近年は活動の命綱である外部からの支援資金(ドナー資金)を思うように集められず、UNHCRからの資金も途絶えるという、過去にない苦境が続いていました。事務所を維持する費用や、現場を支える職員の人件費は、本部の内部資金を切り崩して必死に繋いできたのが実情です。
「地域の人々のための活動の灯を絶対に絶やしたくない」という現地職員たちの強い思いの裏で、使わない資産を抱え続けることは、保管や警備、さらなる劣化など無駄なコストを膨らませる大きな痛手となっていました。だからこそ、今ある資源を有効に回収し、活動を存続させるための苦渋かつ前向きな決断を下しました。
地域の買い手の方と書類を突き合わせ、入札の手続きを1つずつ透明に進めていく
■ 公平性と透明性を最優先した売却プロセス
物価が激しく高騰し困難な現地状況だからこそ、私たちは「決して不正を許さず、地域に愛される誠実な団体でありたい」というプライドを持っています。そのため、地元当局への丁寧な説明や厳格なルール作りにこだわりました。
2026年7月、走行不能になっていた思い出深いランドクルーザーとトラックの2台について、事務所前の掲示板に入札告知を大きく出しました。「ぜひ現物を見に来てください!」と呼びかけ、私(黄色いヘルメット)が説明と案内をして、買い手の方々と書類を見合わせながら真剣な実地検品を行いました。同月には余剰建設資材を、8月には事務用机を地域の希望者へ直接お譲りし、大人の男性数人がかりでトラックの荷台へ机を積み込む作業など、すべてのプロセスを地域の人々と共に透明に進め、厳重に記録しました。
「せーの、で荷台へ!」
8月の事務用机の直売の様子。職員と購入希望者が力を合わせ、トラックの荷台へ丁寧に積み込んでいきます
■ マウンドーの未来を拓く支援活動へ
今回の売却活動を通じて回収された貴重な資金は、BAJの財務手続きに則って1チャットも無駄にすることなく管理され、マウンドー事務所がこの地で活動を続けるための大きな原動力となります。
日々現場で汗を流す職員の雇用を守り、傷んだ建物を修繕して安全な拠点を維持するだけでなく、何よりも現地の人々が心待ちにしている「新たな支援プロジェクト」や、地域を元気にする小さな活動を再開するための大切な準備資金として活用させていただきます。紛争を乗り越え、笑顔で前を向く現地職員たちの挑戦を、ぜひこれからも温かく見守り、応援していただけますと幸いです。私たちは説明責任を果たしながら、力強く前へ進んでまいります。
スペースを占有していた余剰建設資材の搬出作業。一つひとつ手作業で運び出し、地域の建設業者へと売却されました
(翻訳 大野勝弘)
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