報告者:マウンドー事務所 U Zin Min Htike
ラカイン州の内戦は、人々から「夜の明かり」を奪いました。電気の停止は、単なる不便さではなく、生活・安全・医療すべてに影響を及ぼしています。現地で今、何が起きているのか――電力事情を通して、その現実をマウンドー職員のU Zin Min Hkikeがお伝えします。
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■ 電気があった日常から、暗闇の生活へ
2023年11月にラカイン州で内戦が始まる以前、住民は郡電力委員会が定めた送電時間に合わせて、電気を使う生活していました。月1万チャット(約700円~1100円)ほどの電気代を払い、食事の準備、夜の照明、携帯電話やパソコンの充電など、人々は電気のある時間を大切に使っていました。診療所や病院でも電気が使われ、基本的な医療サービスが提供されていました。
しかし内戦のため発電や送電の施設が壊れ、電気の供給は止まりました。現在では、夜に明かりを灯すこと、水をくみ上げること、電気調理器具や家電を使うことなど、電気を前提としていた日常の行為が大きく制限されています。夜になると村や街路は暗闇に包まれ、人々は不安を抱えながら過ごしています。
■ 発電装置――広がる生活格差
一部の経済的に余裕のある住民は、200万チャット(約15万円)以上をかけてガソリンやディーゼルの発電機を購入しています。しかし、燃料費も高く、日常的に使い続けるには大きな負担が伴います。多くの一般家庭にとって、発電機の購入も燃料の確保も現実的ではありません。
そのため、多くの人々は小型のソーラーパネルとバッテリーに頼っています。主な用途は夜間の照明と携帯電話の充電ですが、30万〜50万チャット(約2万円~4万円弱)がセット導入時に、その後バッテリーは毎年、パネルは3年程度ごとに買い替えが必要で、貧困層には重い負担です。ソーラー設備を持てない家庭では、ろうそくに頼った生活となり、火災の危険が常につきまといます。調理には炭や薪が使われ、こちらも安全面での注意が欠かせません。
一方、街では、経済的に余裕のある人々や商店が、大規模なソーラー・バッテリーシステムを導入しています。750万〜3,000万チャット(約55万円~220万円)にもなるこれらの設備によって、電気調理、冷蔵庫やエアコンの使用、井戸水のポンプ稼働などが可能となり、内戦前に近い生活と商売が維持されています。この差は、街と農村、富裕層と貧困層の格差をさらに広げています。
■ 小さな明かりがもたらす希望
農村部の多くの人々は、発電機も大規模なソーラー設備も利用できず、夜に電灯をともすための小規模なソーラーとバッテリーさえ十分に確保できない状況にあります。村全体で共有できる設備を導入する資金もなく、携帯電話の充電すら困難な日々が続いています。
夜の明かりと通信手段は、安全に暮らし、人とつながるために欠かせないものです。低価格のソーラーパネルとバッテリーへの支援は、こうした農村の人々にとって、現実的で切実な助けとなるため、BAJの活動再開時の選択肢の一つと考えています。
暗闇の中に灯る小さな光は、不安を和らげ、生活の尊厳を支える大きな力となるからです。

多くの家庭で使われ始めた小型のソーラーパネルとバッテリー。内戦前にくらべて電気を得る費用は跳ね上がり、使える電力は減った。金額委貧困家庭には手が出ない。

宿題をする子。電気が使えなくなった貧困家庭ではロウソクだけが唯一の明かり。

富裕層や商売人だけが、冷蔵庫やOA機器を動かす大がかりなシステムを導入している。
(翻訳と修正 大野勝弘)
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