報告者:ヤンゴン事務所/東京事務所 新石正治
外務省NGO連携無償資金協力(通称N連)による事業は本年7月20日に完了しました。現在は、皆さまからのご支援により、ひと月に1~2か村の深井戸修繕を継続し、内戦による経済悪化の影響で村が修繕費用を捻出できないケースに対応しています。
N連事業によって修繕した井戸の情報は以下の通りです。


トゥインピュー村の井戸修繕(井戸孔内洗浄)
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チャウンバードウ村の井戸修繕(井戸孔内洗浄)
全13か村の井戸のうち、5本の井戸が全く揚水できない状態で放置されていました。人びとにとって村の井戸は非常に重要なインフラです。揚水不可のまま放置されているのは異常事態です。通常は、村の井戸を管理している自治組織(水管理委員会)が費用を捻出して修理できる人材やチームに修繕を依頼します。しかし、長引く内戦の影響により村落の経済状況が悪化し、村の貯蓄金が底をつき、井戸を適切にメンテナンスできない状況に陥っている村が数多くあることが、N連事業実施中に明らかになりました。

揚水不可のまま放置されていた井戸の一つ(ビングワ村)
かつて深井戸修繕や、井戸の長期維持を目的とした水管理委員会向けの研修などを含めた生活用水供給事業は、「村落開発支援」の一環でした。しかし、村の人びとの井戸のマネジメントが改善されても(グッドプラクティスが積み上がっても)、この内戦による困窮は彼らの能力を超えています。井戸修繕は「村落開発支援」ではなく「緊急人道支援」の文脈で捉えるべき活動に変わりました。
中央乾燥地域はビルマ族が多く住む地域で民族的な対立はありませんが、民主派グループと国軍の戦闘が長期化しています。7月半ばにはこれまで戦闘地域ではなかったニャンウーの複数か村で国軍による焼き討ちがあり、周辺住民も合わせて避難民が近隣の村や町に移動しました。水供給の活動が間接的に紛争から逃れてきた人たちへの支援につながっています。複数の困難の重ね合わせが現在のミャンマーの日常です。

水中ポンプの破損(上写真の下)で揚水不可のままだったジーチョーピン村

9月に実施したユアマカン村の井戸修繕
加えて、当局によるNGOの活動への締め付けはますます強まっており、国際NGO、ローカルNGOの区別は関係なく、海外送金の授受や、団体登録の有無などが厳しくチェックされています。様々な団体の事務所閉鎖や逮捕のニュースを聞く毎日です。
先日は、N連事業で実施した村落に水質検査結果の共有とフォローアップをしようと現地スタッフチームを派遣しましたが、1か村については治安悪化と政情不安で断念しました。
今後も現地の活動を進めるにあたっては細心の注意を払っていく必要があります。
●ミャンマー中央乾燥地域の水事業は、皆さまからのご支援で行っています。
現在「冬募金」をお願いしております。
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