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草に埋もれたわが家の前で:ミャンマー・ラカイン州

草に埋もれたわが家の前で:ミャンマー・ラカイン州

報告者:マウンドー事務所 U Zin Min Htike

内戦がマウンドー周辺におよび、地域の人々の仕事や日常生活は失われました。人々は、戦火を逃れるため家を放棄し持てる物だけをもって、親せきや友人を頼って遠く離れた村へ家族とともに疎開しました。
以下は、マウンドー職員のU Zin Min Hkikeがこの間に見た彼の友人の物語です。

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■ 内戦と避難の始まり

静かに育まれてきた暮らしが、ある日、音を立てて崩れていった。マウンドー周辺に広がったラカイン州の内戦は、地域の人々から「日常」という名の未来を奪った。仕事へ向かう道は封じられ、隣村にさえ行かれなくなった。検問で身元確認されるときには、不安が胸を締め付けるような思いがした。電話もインターネットも電気も、当たり前だったものが次々と途切れ、銀行も扉を閉ざした。

生きるために背中を押された人々は、家を捨て、手に持てるものだけを抱えて、遠い親戚や友人の村へと逃れた。私がこの間に目にしたのは、友人のKyaw Kyaw(チョウチョウ)さん一家の苦闘だった。

■ 避難生活の苦闘

彼の家は、マウンドー近くのLetpan(レッパン)村にあった。5人家族が暮らす家は大きくはなかったが、10年以上少しずつ積み上げてきたものの結晶だった。避難前には、彼はバイクの整備業で、そして奥さんや娘さんは学校の先生としてそれぞれ収入を得ており、一家で月に約70万チャット(およそ5万円)の収入があった。余裕のある生活とまでは言えないが、家族の笑顔を守るには十分な額だった。

昨年3月、突如として村の近くに爆弾が落ちた。住み続けるには危険すぎた。避難を決めた一家は、運転手とトラックをチャーターし案内人を雇い、山越えの道を必死の覚悟で走り知り合いのいる村へたどり着いた。移動には一家の貯えからすれば決して小さくない40万チャット(約29千円)がかかったが命には代えられなかった。

さらに避難先での生活には大きな代償が伴った。家賃は毎月25万チャット(18千円)。食費も、物価が急騰して故郷にいた時の数倍に跳ね上がり、食べていくのに借金するようになった。一方で、バイクとその修理道具を持ち出せたことは幸運だった。彼は同じ仕事を続け、修理賃を受け取った日には借金の返済に充てたうえで、食卓をなんとか満たすことができた。食費にも困る日はバイクタクシーとして走った。家族を支えるために、昼夜を溶かすように働いた。それでもひと月に35万チャット(約25千円)稼げればいい方で、暮らすほどに貧しくなる一方だった。

■ 故郷への帰還と再建への決意

避難生活は9か月。戦闘が終わり、ようやく故郷の村に入ることが許されたとの知らせが届いた。「帰りたい。けれども怖い」。地上戦があったところには地雷や不発弾が残っていて、他の村では犠牲者も出ていた。それでもやはり、このまま疎開先で暮らし続けることもできないとの思いから故郷に戻った。

そして自分の家の前に立った時、チョウチョウさんは言葉を失った。草が生い茂り、扉も窓も壊れ、床も壁も傷つき、屋根には穴が空いていた。家の中をのぞくと棚も衣服も家財道具も、すべて姿を消していた。10年積み上げた暮らしが失われていた。

村の動物たちもほとんどいなくなっていたが、廃墟のわが家の前で一匹の痩せこけた犬が震えていた。村に置き去りにされたが、幸運にも生き延びていた小さな命に、チョウチョウさん一家は、その日から食べ物を与え世話をするようになった。日を追うごとに、犬の身体はふっくらと戻っていった。

元気を取り戻した犬が庭を村の小路をかける様子を見ながら、チョウチョウさんは考えている。生活再建の道のりは険しいが諦めない。壊れた家に再び灯りがともる日を信じ、今日も一歩ずつ前へ踏み出している。

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草に埋もれたわが家の前で

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壁は朽ち果て、祭壇の仏像や供物がすべて失われていた。

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元気を取り戻した犬の様子を見ながら、生活再建への思いを強くした。

(翻訳と修正 大野勝弘)
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